カルニチンはダイエットの強い味方

ダイエット時に摂取するサプリメントとして、候補に上がるのがアミノ酸の一種である「カルニチン」。 カルニチンは、人の体脂肪の80%以上を占める「長鎖脂肪酸」をミトコンドリアに運んで、エネルギー通貨と呼ばれるATP(アデノシン三リン酸)に変えるのに必要不可欠な成分です。

そのため、体脂肪を効率よく燃やすためにはカルニチンが不可欠。他にも抗酸化作用から、筋ダメージを減らしたり回復を促進したりする作用も報告されており、筋トレにもダイエットにも重要な栄養素です。

この記事ではそんなカルニチンの作用について科学的根拠を解説しつつ、おすすめの摂取の仕方や摂取量について解説します。この記事をしっかり読んで、カルニチンの導入を検討してみてください。

カルニチンはダイエット・筋トレの強い味方


カルニチンは、ダイエットにも筋トレにも強い味方になってくれます。その科学的根拠について解説します。

  • 体脂肪を燃やすために必要
  • 筋肉をダメージから守る

体脂肪を燃やすために必要

体脂肪を燃やすには、脂肪細胞から放出された「脂肪酸」を、ミトコンドリアに運んでATPに変えなければなりません。脂肪酸は「長鎖・中鎖・短鎖」に分けられますが「長鎖脂肪酸」が体脂肪の80%以上を占めると言われます。

しかし、長鎖脂肪酸は、そのままではミトコンドリアに入れないのです。そこで必要なのがカルニチン。脂肪酸は「アシルCoA」に変換後、カルニチンと結びつくことで「アシルカルニチン」となり、ミトコンドリアに入ることができます。

体脂肪から分解された長鎖脂肪酸が、カルニチンと結びついてミトコンドリアに運ばれてエネルギーに変わる。これがいわゆる「脂肪が燃える」流れです。

逆に、ミトコンドリアに運ばれずエネルギーになれなかった脂肪酸は、また体脂肪として蓄えられてしまいます。

人間の体脂肪の80%以上が長鎖脂肪酸と言われていることから、長鎖脂肪酸を燃やすために必要なカルニチンは、ダイエットのために不可欠な成分といえます。なお、中鎖脂肪酸と短鎖脂肪酸をミトコンドリアに運ぶのに、カルニチンは不要です。

実際に、カルニチンは高脂肪食による肥満を抑制する効果があったと報告されています。*1

これらの理由から、体脂肪を燃やしたい方は、積極的に摂取したい成分です。

カルニチンコラム01

筋肉をダメージから守る

また、カルニチンは筋肉の保護作用も報告されています。活性酸素を除去して抗酸化能力を高めてくれることで、筋ダメージを減らしたり、回復を促進したりなどの作用も実験によって報告されているのです。*2 *3

筋トレによるダイエット時にカルニチンを摂取すれば、脂肪燃焼を促進してくれる上に、筋ダメージを減らしつつ回復も促進してくれます。

一般の方からアスリートまで、筋トレでのダイエットを行う場合は、積極的に摂りたい成分です。

カルニチンの摂取の仕方


カルニチンは毎日摂取して、体内のカルニチンレベルを高めることが重要です。カルニチンの多くは筋肉に貯蔵されており、筋肉量の多い人ほど必要量が多くなります。ただ、あまり多く摂ると下痢してしまう場合があるため、注意が必要です。

  • 体内で合成される
  • カルニチンの多い食品
  • サプリメントを活用しよう

体内で合成される

カルニチンは、リジンとメチオニンなどから体内で合成されます。ですが体内で合成されるカルニチンは、必要量の25%ほどとされるため、食事やサプリメントでの摂取が必要です。

また、20代以降は加齢に伴って合成速度・量が低下するので、より食事やサプリメントでの摂取が必要になります。加齢に伴ってダイエットがより困難になるのは、カルニチンが不足することも1つの原因かもしれません。

カルニチンの多い食品

カルニチンは動物の筋肉内に含まれるため、肉に多く含まれます。特に赤身の肉に多く、ラムや馬肉、牛肉に豊富に含まれます。 他にもマグロやカツオなどの魚にも豊富です。一方で、タンパク質が豊富な卵や乳製品にはほとんど含まれません。

これらの食品を日頃から多く摂ることでカルニチンを摂取しましょう。ただ、これらの食品には脂質も豊富に含まれるため、ダイエット目的でカルニチン摂取を増やしたい場合は注意が必要です。

サプリメントを活用しよう

サプリメントなら、脂肪の摂取を抑えつつ、カルニチンを効率よく摂取できます。毎日、1日あたり600mg~1000mgを摂取して体内のカルニチンレベルを高めましょう。

筋肉量が大きい人や運動量が多い人は必要量も増えます。ですが、あまり多く摂ると下痢してしまうので、多くても1日2000mgまでにするのが無難です。

カルニチンコラム02

まとめ


体脂肪の80%以上を占めると言われる長鎖脂肪酸を、ミトコンドリアに運んでATPに変えるために、カルニチンは必要不可欠です。またカルニチンは、抗酸化能力を高めることで、 筋ダメージを軽減して回復を促進する作用も報告されています。

カルニチンは体内で合成されますが、その量は必要量の25%ほどと言われます。なので、食事やサプリメントからの摂取が必要です。カルニチンは筋肉に含まれるため、ラムや馬肉、 牛肉に豊富に含まれます。まぐろやかつおなどの魚にも豊富です。

ですが、食事から摂ろうとすると同時に脂質も多く摂ってしまうので、サプリメントの活用をおすすめします。1日600mg~1000mgをサプリメントで摂りましょう。日々摂ることで、 筋肉内に貯蔵されているカルニチンレベルが高まります。

筋肉量や運動量が多い人はカルニチンの必要量も増えますが、摂りすぎると下痢になってしまうため、多くても1日2000mg以内にしましょう。

このようにカルニチンは、ダイエットのためにも、筋肉の回復を早めるためにも効果的な成分です。特に筋トレによってダイエットを目指す人は積極的に摂取しましょう。

カルニチンコラム03

<参照文献一覧>

・タンパク質とアミノ酸 後編 ー 山本義徳

・サプリメントA to C ー 山本義徳

*1 Improvement of high-fat diet-induced obesity by a mixture of red grape extract, soy isoflavone and L-carnitine: implications in cardiovascular and non-alcoholic fatty liver diseases ー Food Chem Toxicol. 2011 Sep;49(9):2453-8.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21745528/

*2 L-carnitine supplementation as a potential antioxidant therapy for inherited neurometabolic disorders ー Gene. 2014 Jan 10;533(2):469-76.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24148561/

*3 L-Carnitine L-tartrate supplementation favorably affects markers of recovery from exercise stress ー Am J Physiol Endocrinol Metab. 2002 Feb;282(2):E474-82.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11788381/