「筋トレのパフォーマンスを上げたいけれど、クレアチンを飲むとお腹を下してしまう……」そんな悩みを抱えている方はいませんか?
クレアチンは、数あるサプリメントの中でも「最もエビデンスが豊富で効果が高い」と言われる王道成分です。しかし、その一方で「下痢」や「腹痛」といった消化器系のトラブルを招きやすい側面もあります。
せっかくの成分も、吸収されずにトイレに流れてしまっては本末転倒です。この記事では、なぜクレアチンで下痢が起きるのか、そして科学的に正しい「お腹を守る飲み方」を徹底解説します。
1. なぜクレアチンで下痢になるのか?2つの科学的理由
クレアチンによる胃腸トラブルは、主に以下の2つのメカニズムによって引き起こされます。
① 腸内の「浸透圧」の変化(浸透圧性下痢)
クレアチンには、周囲の水分を引き寄せる性質があります。一度に大量の粉末を摂取すると、腸内に高濃度のクレアチンが滞留し、それを薄めようとして腸壁から大量の水分が腸管内へ引き出されます。 これが便を緩くし、下痢を引き起こす直接的な原因です。
② 結晶の溶け残りによる物理的刺激
クレアチン(特に一般的なモノハイドレート)は、冷たい水には非常に溶けにくい性質を持っています。溶けきっていないジャリジャリとした結晶が直接腸壁を刺激し、不快感や腹痛を誘発することがあります。
下痢を防ぐ5つの対策
科学的な研究データに基づいた、胃腸への負担を最小限に抑える具体的なテクニックを紹介します。
① 「ローディング期」をスキップする
かつては「1日20gを5日間摂取する」というローディングが推奨されていましたが、Ostojicらの研究(2008)によると、1回10g以上の摂取は5g以下に比べて下痢のリスクが有意に高まることが示されています。
⇒対策: 急いで貯蔵する必要がなければ、最初から1日3〜5gの維持量で摂取しましょう。約28日かければ、ローディングした場合と同じ貯蔵量に達することが分かっています。
② 1回の摂取量を「小分け」にする
1日5g摂取する場合でも、1回で飲み切らずに「朝2.5g・夜2.5g」のように分割して摂取してください。これにより、腸内の浸透圧の急激な変化を防ぐことができます。
③ ぬるま湯で完全に溶かしきる
クレアチンの溶解度は温度に依存します。18°Cの水では1Lあたり14gしか溶けませんが、温度を上げることで溶解度は飛躍的に向上します。
⇒対策: 40℃程度のぬるま湯を使用し、透明になるまでしっかり混ぜてから飲みましょう。
④ 炭水化物やタンパク質と一緒に摂る
空腹時の摂取は胃腸への刺激が強くなります。インスリンの分泌によってクレアチンの吸収を助ける炭水化物(白米やマルトデキストリン)やプロテインと一緒に摂取することで、胃腸の保護と吸収効率アップを同時に狙えます。
⑤ クレアルカリン(pH調整済みクレアチン)を検討する
「モノハイドレート」でどうしても下痢が治まらない場合、クレアルカリンという選択肢があります。これは非常に水溶性が高く、少量(1.5g程度)でもモノハイドレートと同等の効果が得られるという報告があり、胃腸への負担を抑えたい層に支持されています。
まとめ:あなたの「お腹の平和」と「筋肉」を両立させるために
クレアチンで下痢になるのは、体質だけでなく「飲み方」に原因があることがほとんどです。
- ローディングはやめる
- 小分けにして飲む
- ぬるま湯でしっかり溶かす
- 食事と一緒に摂る
この4点を守るだけで、多くのトレーニーが下痢の悩みから解放されています。あなたの胃腸に最適な「スイートスポット」を見つけて、パフォーマンスを最大化させていきましょう。
<参照文献一覧>
- Kreider, R. B., et al. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine.
- Hultman, E., et al. (1996). Muscle creatine loading in men. Journal of Applied Physiology.
- Ostojic, S. M., & Ahmetovic, Z. (2008). Gastrointestinal distress after creatine supplementation in athletes: Are side effects dose dependent?
- Jagim, A. R., et al. (2012). A buffered form of creatine does not promote greater changes in muscle creatine content, body composition, or training adaptations than creatine monohydrate.
【免責事項】本記事は一般的な成分の性質に関する情報提供を目的としており、特定の製品の効能を保証するものではありません。体質に合わない場合は摂取を中止し、専門医にご相談ください。


